「CHAOS;CHILD」TVアニメ連動サイドストーリー

カオスチャイルドな日々と人々
第7話 有村雛絵と神成岳志

神成「こちら神成。ああ、有村雛絵は保護した。このまま俺も青葉寮に向かう。そっちも急いでくれ。よろしく頼む」

雛絵「…………」

神成「有村さん。とにかく乗って!」

雛絵「あ、は、はい……」

神成「飛ばすぞ。シートベルト、ちゃんとしておくように」

雛絵「神成さん、さっきの話……死んだのは南沢泉理じゃないって、どういうことです?」

神成「死んだのは、杯田理子だったんだ」

雛絵「なっ!? なんですそれ!? 聞いてないですよ!」

神成「ついさっき判明したんだ!」

雛絵「じゃ、じゃあ、南沢泉理はまだ生きてるってことですか!? 今日、また事件を起こす可能性がある!? ニュージェネ事件のスケジュール通りに!?」

神成「南沢泉理の消息はつかめていない。そもそも生きているのかどうかさえ、確認できない」

雛絵「そんな……嘘だって言ってくださいよ……」

神成「俺が嘘をついているかどうかは、君ならすぐ分かるだろう?」

雛絵「……っ」

神成「とにかく落ち着こう。これから青葉寮へ行って宮代くんたちを拾う。その後は、どこか安全な場所に身を隠す。百瀬さんや久野里さんにも動いてもらっている。青葉寮の前には今はマスコミもいて、いわば衆人環視の状態だ。たとえ他に真犯人がいても、おいそれと動ける状況じゃない」

雛絵「そんなの、気休めですよ。この期に及んで、常識が通じる状況だと思ってるんですか?」

神成「それはそうだが……悪い方に考えるな」

雛絵「無理ですよ……。うう……、どうしてこんなことに……。柿田さんからは、目立たず一般人として生活しろって言われてたんです。だから私は、息をひそめて生きてきたのに。自分を偽って、普通の女子高生をやってたのに。柿田さんだってそう。目立たないように暮らしてたんです。それなのに……」

神成「柿田も、君も、狙われた……」

雛絵「渋谷から離れればよかった……。警察に協力なんてするんじゃなかった……」

神成「…………」

雛絵「神成さん、警察で保護してくださいよ! 安全な施設で、一ヶ月でもいいから匿ってくださいよ!」

神成「ああ、それについても上を説得中だ」

雛絵「本当に頼みますよ!」

神成「それにしても……能力者の中でも君や宮代くんが狙われるのはなぜなんだろう?」

雛絵「知りませんよそんなの!」

神成「有村くんは顔を見られていたからだとしても……宮代くんが狙われるのはなぜなんだ……」

雛絵「興味本位に事件に首を突っ込んだからじゃないですか? だから、言ったのに。殺されますよって警告したのに……っ」

神成「なんとか、逆を突くことはできないか? 君の力を使って、犯人を特定するようなことは――」

雛絵「できるわけないじゃないですか……。対話してる相手ならともかく、誰か分からない犯人を渋谷の中から見つけ出すなんて芸当、絶対無理です……」

神成「そ、そうか……」

雛絵「被疑者を面会室にずらっと並べて、その人が嘘をついているかどうかを確かめるぐらいならできますけどね。というわけで、警察で頑張って被疑者を捕まえてきてください……」

神成「分かってるさ」

雛絵「どうだか。警察じゃどうせ、今の渋谷の異変にも気付いてないんでしょう?」

神成「異変だって? なんのことだ?」

雛絵「街に貼ってある力士シールの数が、この数日ですごく増えてるんです」

神成「ああ、この前、君たちが襲われたときにもそう言っていたな」

雛絵「それって、いったい誰が貼ってるんでしょうね」

神成「誰って……真犯人じゃないのか?」

雛絵「ひとりであんなたくさんのシールを貼れるなんて思えません。それぐらい、すごい量です。何千枚っていう数なんですよ」

神成「犯人はひとりじゃない、と?」

雛絵「ヤバい組織だったとしてもおかしくないでしょう? うきの件、忘れたんですか? 警察の目をかいくぐってあれを隠蔽できるなんて、個人でできることじゃないですよ」

神成「憶測で動くのはよくない。シールを貼るぐらい、バイトを大量に雇うことでも可能だろう? たとえばホームレスを使うのは常套手段だ」

雛絵「そうだといいんですけどね……。とにかく、今の渋谷はシールだらけです。私なんか、5分も歩いたら立っていられなくなるくらいで。渋谷中の人が私を殺そうとしてるんじゃないかって思えてくるくらいです」

神成「君の考えすぎだ」

雛絵「普通の人には分かりませんよ……。警察は犯人を捕まえる気があるんですか? 動いてるのは神成さんだけじゃないですか」

神成「捜査員自体はたくさん動員されている」

雛絵「見当違いのことばかり調べてても、犯人には辿り着きませんよ。ギガロマニアックスのこと、警察はいまだに認めてないんでしょう?」

神成「……すまん」

雛絵「人が死んでるっていうのに……」

神成「…………」

雛絵「もう、たくさんです。やっぱり、自分の手で犯人を殺すしか……」

神成「頼むからそういう先走ったことはしないでくれ。これ以上、誰も犠牲者など出させはしないから」

雛絵「…………」

神成「とにかく青葉寮へ急ごう」

雛絵「……はい」

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